彼女が気になって眠れなかった俺は、結局明け方近くまで起きていた。
カーテン越しに差し込む光を感じ、もう朝なのかと改めて思う。
彼女、和泉咲はまだ帰ってこない。
一体どうしたのかと思っていると、離れた場所でガチャガチャと音がした。
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devigel
第二話
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ギイー・・・とドアが開き、ばたばたと足音がする。その足音はだんだんと大きくなり、
俺がいる部屋の前に来た。
ガチャ。
ドアを開けて現れた彼女は、何だか昨日よりも疲れているようだった。
「ごめんね!!昨日は・・。ちょっと色々あって・・。」
疲れた様子を隠すかのように、妙に明るい声で彼女は言った。
「お腹減ってるよね。今、朝ごはん作るからね。」
そういうと彼女は部屋から出て行ってしまったーー。
何があったのか、すごく気になった・・・。
部屋を出て行くときの彼女の表情が、少し暗かったからだ。
でもなんだか触れてはいけないことのような気がして、その気になりはそっと胸の奥にしまった。
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再びドアが開き、ふんわりと香るイイ匂いが入ってきた。
「これ食べて、また薬飲んでね。魔法、まだ使えないでしょ??」
昨日から比べると、だいぶ体も回復してきたが、まだまだ魔力は戻っていない。
魔力の回復にはかなりの時間がかかるだろう。
彼女はそういうことも知っているようだった。
「あの・・さ、ちょっと聞いていい??」
「え・・??」
「薬のこととか、魔法のこととか、何でこんなよく知ってんの??」
思い切って一番気になっていたことを聞いてみた。
「そっか・・・。まだ話してなかったもんね・・・。」
彼女は深く深呼吸して、詳しく話してくれた。
「生まれたときから、魔力があったみたいでね、他の人には見えないものや人が見えてたんだ。
だから、今までにあなたみたいな堕天使にたくさん会った事があるわ。
任務のこととか、色々なことを話してくれる人もいて、あなたたちのこともけっこう知ってるの。
あなたが飲んだ薬も、前に会った堕天使がくれたものなのよ。
もしけがをした天使や悪魔、堕天使に会ったらこれを飲ませるといいって。
実際あなたみたいに、けがをした人に会ったのは初めてなんだけど。」
「そうだったんだ・・・。」
疑問が一気に解消された気がして、少し安心した。
「あ、それより早くご飯食べないと冷めちゃ・・」
「ありがとう。」
「え・・?」
「昨日、ちゃんとお礼言えてなかったからさ。」
「い、いいのにそんなこと・・。」
少し赤くなって照れている彼女が、何だか可愛く見えた・・・。