devigel彼女が気になって眠れなかった俺は、結局明け方近くまで起きていた。 カーテン越しに差し込む光を感じ、もう朝なのかと改めて思う。 彼女、和泉咲はまだ帰ってこない。 一体どうしたのかと思っていると、離れた場所でガチャガチャと音がした。 * * * * * * *
* * * * * * * ギイー・・・とドアが開き、ばたばたと足音がする。その足音はだんだんと大きくなり、 俺がいる部屋の前に来た。 ガチャ。 ドアを開けて現れた彼女は、何だか昨日よりも疲れているようだった。 「ごめんね!!昨日は・・。ちょっと色々あって・・。」 疲れた様子を隠すかのように、妙に明るい声で彼女は言った。 「お腹減ってるよね。今、朝ごはん作るからね。」 そういうと彼女は部屋から出て行ってしまったーー。 何があったのか、すごく気になった・・・。 部屋を出て行くときの彼女の表情が、少し暗かったからだ。 でもなんだか触れてはいけないことのような気がして、その気になりはそっと胸の奥にしまった。 * * * * * * * 再びドアが開き、ふんわりと香るイイ匂いが入ってきた。 「これ食べて、また薬飲んでね。魔法、まだ使えないでしょ??」 昨日から比べると、だいぶ体も回復してきたが、まだまだ魔力は戻っていない。 魔力の回復にはかなりの時間がかかるだろう。 彼女はそういうことも知っているようだった。 「あの・・さ、ちょっと聞いていい??」 「え・・??」 「薬のこととか、魔法のこととか、何でこんなよく知ってんの??」 思い切って一番気になっていたことを聞いてみた。 「そっか・・・。まだ話してなかったもんね・・・。」 彼女は深く深呼吸して、詳しく話してくれた。 「生まれたときから、魔力があったみたいでね、他の人には見えないものや人が見えてたんだ。 だから、今までにあなたみたいな堕天使にたくさん会った事があるわ。 任務のこととか、色々なことを話してくれる人もいて、あなたたちのこともけっこう知ってるの。 あなたが飲んだ薬も、前に会った堕天使がくれたものなのよ。 もしけがをした天使や悪魔、堕天使に会ったらこれを飲ませるといいって。 実際あなたみたいに、けがをした人に会ったのは初めてなんだけど。」 「そうだったんだ・・・。」 疑問が一気に解消された気がして、少し安心した。 「あ、それより早くご飯食べないと冷めちゃ・・」 「ありがとう。」 「え・・?」 「昨日、ちゃんとお礼言えてなかったからさ。」 「い、いいのにそんなこと・・。」 少し赤くなって照れている彼女が、何だか可愛く見えた・・・。