気がつくと、何だかとても暖かい場所にいたーーー。

 

俺は死んだんじゃなかったのか・・・・?

ここは一体どこ何だろう・・・?

 

そんな疑問を抱きながら、ゆっくりと体を起こした。

まだ体中が痛む・・。相当なダメージだったようだ・・。

だが俺はその時、体に包帯が巻かれているのに気づいたーー。

誰かが傷の手当てを。。。!?

だが一体誰が・・・・!?

そう思っていると、扉の開く音がしたー。

 

 

ガチャ。


*


*


*


*


*


*


*




devigel
第一話


*


*


*


*


*


*


*




入ってきたのは、見た目は俺とそんなに変わらない、少女だったー。

 

「気が・・・ついた・・!?」

恐る恐る少女は問いかけた。

 

「あぁ、うん。。」

 

「あの・・私、和泉咲って言うんだけど・・。あなたは・・?」

 

"いきなり自己紹介かよ・・"と少女に驚きつつも、俺は答えた。

 

「俺はルーク。レア・ルーク。」

 

 

ドアの前で立ちつくしていた少女は、俺の名前を聞くと、ベットのそばへやってきた。

 

 

「一個聞いてもいいかな・・・?」

 

「あなた、天使??」

 

短い言葉であったが、その言葉は、決して相手を蔑むような言い方ではなく、とても優しく、とても丁寧に

そして相手を尊重するように発せられた。

 

そのせいもあってか、いつもなら自己紹介をするのが死ぬほど嫌いだったのに、

俺は信じられないほど穏やかな気持ちになった。

 

 

「俺は堕天使だよ」

 

 

"堕天使"と人前で口にするのは久しぶりのことだった。。。

 

 

 

「そう・・なんだ。」

 

 

彼女は堕天使がどういう存在なのか知っているとも知らないともとれる態度で、

持ってきたコップに水を注ぎ始めた・・。

 

 

 

「あのね、これ飲んで。傷の治りが早くなるから。」

 

そう言って水と一緒に差し出したのは、驚くべきことに、魔界で売られている薬と同じものだった。

 

「な、何でこの薬がここに・・・!!??」

 

驚いている俺をよそに、彼女はほほ笑んだ。

 

「その話は後でするから。まずは体を治して。」

 

不思議と返す言葉が出てこなかった。

薬を飲むと、すぐに睡魔が襲い、俺は再び眠りについた・・・・。

 

 

 

 

 

どのくらい寝ていたのだろうかーーーー。

次に目が覚めた時、彼女はいなかった。

 

体を起こしてみると、薬が効いたのか、以前よりも痛みがなくなっている。

 

 

 

枕元に、一枚の紙があった。

 

 

 

「出かけています。夕方には戻ります。机の上に、食事と薬を置いていきます。」

 

机の上を見ると、書置きの通り、食事と薬が置いてあった。

 

ベットから起き上がって、辺りを見回すーー。

ここは彼女の部屋なんだろうか・・・。

 

と、いうか彼女は一体何者なんだろう・・。

俺の姿が見えて、触れることができて、おまけに会話も・・・。

人間・・だとは思うが、見たところそれなりに魔力を持っている感じだ・・。

しかもあの薬・・・。一体どこで!?

 

 

 

そんなことを考えていると、ふとアデルのことが気になり始めた・・・。

 

 

アデルは無事なんだろうか・・。

仲間に会えたんだろうか・・・。

 

 

ピューっと指で音を鳴らしても、俺のこうもりは飛んでこない。

おそらくまだ魔力が回復していないせいだろう・・。

 

「はぁ〜っ。」

思わずため息が出てしまう。

 

俺にもっと力があれば、こんなことにはならなかったのに・・。

 

いろいろと考えながら、机の上の食事に手を伸ばすと、

机の上の時計は、PM8:30を差していた。

 

もうこんな時間か・・彼女はどうしたんだろう。。。

まだ助けてくれたお礼を言ってないし、いろいろと質問もあるのに・・・。

 

 

しかし、その日彼女は戻ってこなかったーーーー。