俺が今まで話していた少女は、とても綺麗だったー。

栗色の長い髪の毛と、吸い込まれそうな瞳、長いまつげ。

おまけにスタイルはモデル級。

 

うちのガッコにいたら間違いなくアイドルだろうな・・・。

そんなことを考えながら彼女を見つめていると、

俺の視線に気づいたのか、彼女が尋ねた。

「私、何かついてる??」

「あ、いや・・・。」

 

見とれてましたなんて言える訳ねーし。

 

100mほど走って、古い廃棄庫の軒下へ入った。

「あちゃー、けっこう濡れたなー」

ちらりと彼女を見ると、寒いのか、少し震えている。

 

今は10月だし、そんな薄着じゃ寒いの当たり前か。

そう思って俺は上着を脱いだ。

 

バサッ

 

「それ着てろよ」

さりげなく彼女に渡す。

「えっ・・あ、ありがと」

小さくつぶやいて上着をはおる彼女。

 

そのとき俺は、彼女が嬉しそうに微笑んだのを見た。

それが彼女の笑顔を見た最初の瞬間だった。

 

もしかしたら、このときから俺は

彼女に恋をしていたのかもしれない・・・。