雨がやんだー。

 

「とりあえず・・・そんなカッコじゃ風邪ひくから、

俺んち来なよ。すぐそばにあるから。」

「うん。」

 

俺はそのとき妹がまだ帰ってきていないことを

必死に祈った。そして・・・

 

ガチャー。

 

「ただいまー。奈留、いるかー??」

 

 

反応がない。

 

よかった・・・。

 

「ちょっと荷物置いてくるから、二階上がって待ってて。

あ、俺の部屋は階段上がって右ね。」

 

「うん。」

 

 

 

ばたばたと荷物を置き、お茶とタオルを持って部屋へ急いだ。

 

すると彼女は俺の机を眺めていた。

 

「何見てんの?」

 

それは体育祭のときの写真だった。

騎馬戦の様子が写っている。

上に乗っていた俺が奪ったたすきをつかんで

笑っている写真だ。

 

 

「何をしてるの・・?」

 

「ああ、これは騎馬戦っていって、相手のたすきを

とったら勝ちっていう競技だよ。」

 

「あなた、とっても楽しそう。」

 

「そ、そう・・?」

 

言われてみれば、かなり笑っている。

俺ってこんな顔して笑ってんのか・・なんて考えていると、

彼女がこっちを見ていた。

 

「え、何??」

 

「名前。あなたの名前、聞いてない。」

 

そういや自己紹介してないっけ・・・。

 

「えっと・・比呂、楠木比呂。」

 

 

しばらくの沈黙の後、

 

「比呂って呼んでもいい?」

 

「えっ、あー、いいけど。」

 

今まで女子に呼び捨てされるなんて

隣に住んでる幼馴染の雛子以外

誰もいなかったからちょっととまどった。

 

「私のこともユイって呼んでいいよ。」

 

そういって彼女は俺の部屋を物色し始めた。

 

「おいおいおいっっ!!ちらかすなよ・・・!」

 

 

 

そのとき、

 

 

「ただいまー。」

 

妹の奈留が帰ってきた。

 

やべっっ!!

 

どうする!!?? 俺!!!