「比呂!アンタやっぱり先に帰ってたのね!!」

あきれたように雛子はつぶやいた。

 

「雛子・・どうした?」

 

「どうした?じゃないわよ!アンタ今日先生に呼ばれてたでしょ?」

 

・・・あっ!!そういえばそうだった・・・。

 

進路のことで話があるからと担任の福ちゃんに

呼ばれていたのをすっかり忘れていた。

 

「やべぇ・・。」

 

焦っている俺を見て雛子は言った。

 

「副ちゃんからこれ渡してくれって頼まれたの!」

 

差し出された封筒には、大学の資料が

ぎっしり入っていた。

 

「この中から、行きたい大学を選んどくようにって。

来週までに報告してほしいそうよ。」

 

「まじかよ・・・。」

 

これだけの資料に目を通すのはかなり疲れる。

 

「はぁ〜・・。」

 

力なくため息をつき、

 

「サンキュ、雛子。助かった!じゃまた明日な!」

 

そういって雛子と別れた。

 

 

だが俺は、俺に対する雛子の気持ちに全く気づいていなかった。

 

あのときまでは・・・・。